相続した不動産、
何から始める?
手続きの流れと期限を
わかりやすく解説
「何から手をつければいいのかわからない」「相続登記は義務化されたらしいけど、いつまでにやればいいの?」という方は非常に多くいらっしゃいます。
しかし、期限を過ぎると罰則が発生したり、売却したくても売却できない状態に陥ることがあります。逆に、正しい順番を知っていれば、一つずつ着実に進めることができます。
この記事では、相続診断士・空き家相談士の資格を持つ筆者が、相続した不動産の手続きを時系列で整理し、期限・費用・注意点をわかりやすく解説します。
この記事の内容
相続不動産の手続き ― 全体の流れを把握する
不動産を相続したときにやるべきことは多岐にわたりますが、大きな流れは以下のとおりです。まずは全体像を把握し、それぞれの期限を押さえましょう。
| ステップ | やること | 期限の目安 |
|---|---|---|
| STEP1 | 遺言書の確認 | すぐに |
| STEP2 | 相続人の確定・遺産分割協議 | 〜3か月目安 |
| STEP3 | 相続放棄の検討 | 3か月以内(法定期限) |
| STEP4 | 準確定申告 | 4か月以内(法定期限) |
| STEP5 | 相続税の申告・納付 | 10か月以内(法定期限) |
| STEP6 | 相続登記 | 3年以内(法定期限・義務) |
| STEP7 | 不動産の活用方針を決める | できるだけ早く |
ポイント
STEP3〜6には法律で定められた期限があります。期限を過ぎると罰則や不利益が発生するものもあるため、「いつかやろう」ではなく、期限から逆算して動くことが大切です。
STEP1:遺言書の確認(すぐに)
相続が発生したら、最初にやるべきは遺言書の有無の確認です。遺言書があるかないかで、この後の手続きの進め方が大きく変わります。
遺言書がある場合
遺言書に「自宅は長男に相続させる」など具体的な指定があれば、原則としてその内容に従って手続きを進めます。遺産分割協議が不要になるケースもあり、手続き全体がスムーズになります。
ただし、自筆証書遺言(手書きの遺言書)の場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。検認前に勝手に開封すると5万円以下の過料が科される場合があるため注意してください。なお、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されている遺言書は検認不要です。
遺言書がない場合
遺言書がない場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰が何を相続するかを話し合って決めます(STEP2で詳しく解説します)。
遺言書の探し方
自宅の金庫や仏壇の引き出し、貸金庫などを確認しましょう。公正証書遺言であれば、最寄りの公証役場で「遺言検索システム」を使って有無を照会できます。法務局の保管制度を利用していた場合は、法務局に確認します。
STEP2:相続人の確定と遺産分割協議(〜3か月目安)
相続人を確定する
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得し、法定相続人が誰であるかを確定させます。この作業は想像以上に手間がかかります。本籍地が何度も変わっている場合は、複数の市区町村に請求が必要です。
上里町・本庄市周辺の方であれば、本籍地が上里町や旧児玉町(現本庄市)にある場合は比較的スムーズですが、若い頃に東京やさいたま市に本籍を移していた場合は、それぞれの自治体から取り寄せることになります。
遺産分割協議を行う
相続人が確定したら、全員で遺産の分け方を話し合います。これが遺産分割協議です。話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・実印で押印します。この協議書は相続登記や預貯金の解約など、あらゆる手続きで必要になる重要書類です。
遺産分割がまとまらないとどうなる?
相続人の間で意見が合わず、遺産分割協議がまとまらない場合、不動産は「共有状態」のまま放置されます。共有状態では、相続人全員の同意がなければ売却も解体もできません。当社への相談でも、「10年前に親が亡くなったが、兄弟間で話がまとまらず何もできないまま」というケースがあります。話し合いが難しい場合は、早い段階で弁護士や司法書士などの第三者を交えることをおすすめします。
STEP3:相続放棄の検討(3か月以内)
相続財産に借金が多い場合や、管理できない不動産だけが残っている場合は、相続放棄を選択できます。
相続放棄の期限は、相続の開始を知った日から3か月以内です。家庭裁判所に申述書を提出して行います。この期限を過ぎると、原則として相続を承認したものとみなされます。
注意
相続放棄をすると、借金だけでなくプラスの財産もすべて放棄することになります。「家はいらないけど預貯金は欲しい」という選択はできません。また、相続放棄をしても、次順位の相続人に管理義務が移らない場合があります。放棄を検討する場合は、財産全体を把握した上で判断しましょう。
STEP4:準確定申告(4か月以内)
亡くなった方がその年に所得を得ていた場合(年金収入・不動産収入・事業収入など)、相続人が代わりに確定申告を行う必要があります。これを準確定申告といいます。
期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。申告先は亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。
賃貸不動産を所有していた場合や、事業を営んでいた場合は準確定申告が必要になるケースが多いため、税理士に相談されることをおすすめします。年金収入のみで確定申告が不要だった方は、準確定申告も不要な場合があります。
STEP5:相続税の申告と納付(10か月以内)
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
基礎控除額の計算方法
基礎控除額は以下の計算式で求められます。
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
たとえば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円です。相続財産の総額がこの金額以下であれば、相続税はかからず、申告も不要です。
不動産の評価額はどうやって出す?
相続税の計算では、不動産は時価ではなく相続税評価額で計算します。土地は「路線価」または「倍率方式」、建物は「固定資産税評価額」がベースです。上里町・本庄市エリアでは倍率方式で評価される地域も多く、固定資産税の納税通知書があれば概算を把握できます。
実例 ― 「相続税がかかると思い込んでいた」ケース
上里町で自宅と農地を相続した方から「相続税がいくらかかるか心配」というご相談がありました。遺産は自宅(土地・建物)、農地、預貯金を合わせて約3,500万円。相続人はご兄弟2人で、基礎控除額は3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円でした。
結果、遺産総額が基礎控除の範囲内に収まり、相続税はゼロ。申告も不要でした。「都内のマンションなら違ったかもしれないが、地方の不動産は評価額が低いため、実際には相続税がかからないケースの方が多い」ということを知って安心されていました。
ポイント
国税庁の統計によると、相続税の課税対象となるのは全体の約9%です。つまり約9割の方は相続税がかかりません。特に上里町・本庄市・深谷市エリアでは、都心部と比べて不動産の評価額が低いため、基礎控除の範囲内に収まるケースが大半です。ただし、念のため概算は確認しておくと安心です。
STEP6:相続登記(3年以内 ― 義務化に注意)
相続した不動産の名義を、亡くなった方から相続人に変更する手続きが相続登記です。
2024年4月から義務化された
2024年4月1日から、相続登記は法律で義務化されました。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しなければならず、正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になります。
この義務化は過去の相続にもさかのぼって適用されます。つまり、何年も前に親から相続した不動産の名義が親のままになっている場合も対象です(経過措置として、2027年3月31日までに登記すればよいとされています)。
相続登記に必要な書類
相続登記の申請には、主に以下の書類が必要です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の現在の戸籍謄本、被相続人の住民票の除票、相続人の住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書(+相続人全員の印鑑証明書)などです。
費用の目安
相続登記を司法書士に依頼する場合の費用目安は以下のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 司法書士報酬 | 6万〜12万円程度 |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4% |
| 戸籍謄本等の取得費用 | 数千円〜1万円程度 |
たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の不動産であれば、登録免許税は4万円。司法書士報酬と合わせて合計10万〜17万円程度が目安です。
相続登記をしないとどうなる?
過料の問題だけではありません。名義が故人のままだと、不動産を売却できません。売却したいと思った時に初めて相続登記の必要性に気づき、そこから書類集めを始めて数か月かかる——というケースは非常に多いです。さらに時間が経つと相続人が増え(二次相続)、必要な書類や同意を得る相手が増えて手続きが格段に複雑になります。
STEP7:相続した不動産をどうするか決める
相続手続きが一通り終わったら、不動産をどうするかの方針を決めましょう。主な選択肢は3つです。
選択肢① 売却する
使う予定がなければ、売却して現金化するのが最もリスクの少ない方法です。固定資産税の負担がなくなり、建物の劣化を心配する必要もありません。売却代金を相続人間で分けることもできます。
なお、相続した不動産を売却する際には「譲渡所得税」がかかる場合がありますが、一定の条件を満たせば「相続空き家の3,000万円特別控除」が適用され、税負担を大幅に軽減できるケースがあります。この特例は適用期限があるため、売却を検討する場合は早めに確認しましょう。
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選択肢② 自分で住む・活用する
実家に住む、賃貸に出す、事業用に活用するなどの方法です。ただし、リフォーム費用や管理の手間がかかるため、収支のシミュレーションをした上で判断しましょう。
選択肢③ 当面は管理して保有する
すぐに方針を決められない場合は、最低限の管理を行いながら保有を続けることもできます。ただし、管理を怠ると「特定空家」に指定され、固定資産税が最大6倍になるリスクがあります。
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上里町・本庄市・深谷市周辺でよくある相続不動産の問題
埼玉県北部エリアの相続不動産には、都心部とは異なる特有の問題があります。当社で実際に多いご相談を紹介します。
農地の相続が絡む
上里町・神川町・美里町では、自宅と農地をセットで相続するケースが多くあります。農地は通常の宅地と異なり、売却や転用に農業委員会の許可が必要です。手続きに数か月かかることもあるため、早めに着手することが重要です。
名義が祖父母のまま
特に農家住宅に多いのが、不動産の名義が祖父母の代、あるいはそれ以前のままになっているケースです。この場合、相続人の数が膨大になり、全員の同意を得るのに非常に手間がかかります。当社で扱ったケースでは、名義が曾祖父のままだったため相続人が20人以上になっていた例もありました。
遠方に住んでいて管理できない
相続人が東京やさいたま市に住んでいて、上里町・本庄市の不動産に手が回らないというのは最も多いパターンです。放置している間に建物が劣化し、近隣からの苦情が来て初めて行動される方も少なくありません。
実例 ― 名義変更が放置されていた上里町の農家住宅
東京都内にお住まいの60代の方から、上里町の実家についてご相談がありました。お父様が5年前に亡くなり、相続手続きをしないまま放置していたところ、相続登記の義務化を知って慌てて連絡をくださいました。
調べてみると、土地の名義はお父様ではなく祖父のままでした。祖父には子どもが5人おり、すでに亡くなっている方もいるため、その子ども(いとこ)を含めると相続人が12人に上っていました。
提携の司法書士と連携し、全員に連絡を取って遺産分割協議書を取りまとめるまでに約6か月。その後、相続登記と売却手続きを進め、最終的に解決まで約10か月かかりました。ご相談者は「もっと早く動いていれば、こんなに大変にならなかった」とおっしゃっていました。
まとめ
相続した不動産の手続きは、遺言書の確認から始まり、相続人の確定、遺産分割協議、相続税の申告、相続登記と、複数のステップを期限内にこなしていく必要があります。
特に重要なのは以下の3つの期限です。相続放棄は3か月以内、相続税の申告は10か月以内、相続登記は3年以内(義務)。これらを過ぎると、罰則や不利益が発生する可能性があります。
上里町・本庄市・深谷市エリアでは、農地の相続や古い名義の放置など、地域特有の問題も多くあります。手続きが複雑になるほど時間と費用がかかるため、早い段階で専門家に相談することが最善の一手です。
「何から始めればいいかわからない」という方こそ、まずはお気軽にご相談ください。手続きの全体像を整理し、必要に応じて司法書士・税理士とも連携しながらサポートいたします。
相続した不動産のこと、何から始めればいいか迷ったらご相談ください。
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